雨蛙の賦

台湾・嘉義インターンシップ日記

18. 日本人の台湾への意識

こんにちは、ゆうです。

 

だいぶおひさしぶりです。

最近真面目に中国語やってみようと思って台南の中国語学校に行ってきました。がんばります。

 

最近さぼりがちでしたが、ブログの形で経験や思考を言葉にすることは本来おもしろいものであると思うので、怠惰な心を入れ替えて継続してきます。

今、具体的に書きたいことは3点あります。

今日はそのうちのひとつ、日本人が台湾に対して持っている意識について書いていきたいと思います。

あとの日台関係についてと自分自身についてです。こちらも近いうちにブログの形で文章にしていきたいと思います。

 

 

 

台湾に来て驚かされるのは話に聞いていた以上の台湾人の親日ぶりだ。彼らは日本のことを本当によく知っている。日本のアニメやドラマは台湾で非常に人気があるし、日本の野球中継も行われている。町を歩けばそこら中に日本語の看板が立ち並ぶ。どこに旅行に行っても日本語を話せる人と出会うし、日本人だと言うと、「おー、日本人か!」というようなとても好意的な反応をしてくれる(これは他の国の人にも同じ反応なのかはわからないけど)。ここまで日本の存在感がある国は他にはないのではないかと思わせる

 台湾はかつて日本だった。そのような特別な関係性を持つ場所は日本人にとっては、他に朝鮮・満州樺太しかない。やはり台湾人から感じるこの日本への特別な感情はこのことを外しては考えられない。しかし、このことに関してはまた次回以降で触れていきたい。

 

私が書きたいのは日本人のことである。日本人は台湾について知らない、と切に思う。観光に関しては近年台湾ブームが起こっており、台湾への渡航者は急増している。まだ台湾のサブカルチャーは一般的ではないが、台湾映画の上映もたびたび行われている。しかし、日本人の多くの台湾についての知識は驚くほど乏しいな、と台湾に半年でも暮らしている人間として悲しくなることがある。

 特に、台湾は中国の一部だと思っている人が多いことには本当に驚く。勘違いを防ぐために書くが、私は両岸関係の思想的な肩入れを台湾独立にしたいがために書いているのではない。ただ日本人が、台湾は中国だと間単に口にしていることが悲しいのである。

 国共内戦終結後に国民党政府が台湾に逃げ込んで以来、台湾と中国はお互いに中華民国中華人民共和国として中国全土を領土としているという主張をしている。そのため現在のところ日本を含む多くの国は中華人民共和国との国交を選択し、中華民国が国交を持つ国はわずかに20カ国ほどしかない。この歪な関係は現在も両岸関係として確かに存在している。

 

さて、「台湾は中国である」という発言についてである。この言葉を口にする人に全く悪気はなく、単に台中関係についての知識がないのであろう。しかし、例えば「パレスチナイスラエルである」とか「イスラエルパレスチナである」とかいう発言を安易にすることがあろうか? 私はイスラエルパレスチナの関係について深い知識は持たない。でもそのことについて安易に断定して口にしてはいけないという倫理は持っている。

 しかし、日本人の多くの人がこの程度の台中関係に関する倫理すら持ち合わせていない。繰り返すが、私は台湾独立に肩入れしたいのではない。ただこんなにも近くにあるのに、特別な歴史で結びつけられた場所なのに、日本人がその程度の台湾への関心すら持たないということが、ただただ悲しい。

 

司馬遼太郎さんの『台湾紀行』の中に印象的な一節がある。台湾が日本だったころに日本人と結婚した台湾人の老女が司馬さんにたずねる。

「日本はなぜ台湾をお捨てになったのですか」

これに対して司馬さんは第二次世界大戦後に日本が植民地としての台湾を放棄したことについてか、それとも日中国交正常化に伴う日本と台湾の断行のことについてか逡巡する。黙り込む司馬さんに対して老女はもう一度たずねる。

「日本はなぜ台湾をお捨てになったのですか」

と、大きな瞳を据えていわれた。たずねている気分が、倫理観であることは想像できた。

 

日本人の多くが持つ台湾に対する意識としては、日本は台湾を捨てた、としか言いようがないように感じてしまう。半年間台湾にいて、読んだ当時よりこの一節から受ける痛みは大きくなった。

 

幸いにしてまだ台湾の多くの人々は日本に対して特別な印象も持ってくれているように思う。それでも私が台湾に来てから八田さんの銅像の頭部が破壊されたり、台湾総統府憲兵に対して日本刀で切りつけるといった反日的な事件も起きている。

2カ月前にお話しを伺った台湾在住の日本人の教授が、李登輝さんをはじめとする日本時代を直接知る世代が世を去ったあとの日台関係の再構築の重要性について触れていた。今の日本人の台湾に対する意識では、この特別な関係性はきっと薄れていってしまうのだろうと感じる。「台湾人の日本に対する期待の大きさとその期待に必ずしも日本は答えられていないという現状」とおっしゃっていたが、その言葉はずっと私の頭に残っている。

 

訪台する日本人観光客が増えつつある今を契機にして、もっと台湾について関心を持つ人が増えてくれればうれしい。そしてそういう空気の中から直接に台湾について関わる人々が出てくれば、きっと、もっと特別な関係に日本と台湾は、なれると思うし、なってほしいと思う。そのためにまず身近な人から、台湾のことについて伝えてかなくてはならない、と思う。

次回はその日本と台湾の関係について書いていきたい。